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せめて夢の中だけでも
第33章 朱里という女性。
「何なの…っ…」
みるみるうちに朱里の顔が
崩れていく。
あんなに色気を出して…
微笑んでいたあの顔はもうなかった。
「大好きだよ…凛ちゃん」
そう言って朱里の唇に
自分の唇を重ねると
鈍い痛みが俺の頬を走った。
「…っいた。」
「……っっ。最低っっ。」
朱里が思い切り俺の頬を引っ叩いた。
目に涙を浮かべて、小さく震えている。
「…その言葉…そっくりお返しするよ。
朱里。」
低い声で名前を呼ぶと…
朱里の瞳からは大粒の涙が何度と落ちていく。
いつの間にか、興奮も冷めて…
俺自身も冷静さを取り戻していた。
ただ、ただ部屋には朱里のすすり泣く声が響く。