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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
「………もう。」
下を向いて何も言えなくなった私に
秋雨は面白そうに肩を揺らして笑っている。
そんな様子を壱はじっと見ていた。
しばらくすると客の足も遠のき始め
カウンターにはもう秋雨の姿はなかった。
3人ほどと私のみ。
私ももう、帰ろうと思い壱君に
声をかけ席をたつ。
壱君は何も変わらずに笑顔で
ありがとうございましたと頭を下げた。
先に家に帰った私はベッドに体を沈め
壱の言葉を思い浮かべていた。
…私の知らない秋雨…
秋雨と共に過ごしてきて
知らない秋雨の方が多かった。
秋雨の過去が…所謂
女たらしの部類に入っているのも承知だった。
これ以上、どんな女が出てくるのか…
「まぁ、アレだけカッコいいんだもん。
女が放って置くわけないか…」
そう呟いた時、ベットがギシッと軋んだ。
「誰がカッコいいって?」
耳元で呟かれ思わず振り向くと
そこには秋雨が私にかぶさっていた。