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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
お昼になり弁当箱を開けると、
いたって普通の色取り取りの可愛い弁当だった。
どれもこれも美味しくてついにやけてしまった。
玉子焼きもハートになっているし、
ウィンナーもタコちゃんになっている。
どこからどうみても…女の子だ。
夕方まっすぐ家に帰る。
この時間はもう誰もいないと思っていた。
しかし、玄関には一足の革靴。
足早にリヒングに向かうと
ソファーにもたれながらうたた寝をする秋雨がいた。
真っ黒いスーツに身を纏い
ネクタイは少し緩められている。
スースーと規則的な寝息が聞こえていた。
そんな彼の前にしゃがみ込み顔を覗き込む。
…これ以上ないほどに幸せだった。
私には勿体無いくらいの整った顔、
綺麗な髪、細く長身の体。
それだけで胸が締め付けられる。
そっと頬に触るとピクッと反応を示す。
「…大好き。」
ゆっくり唇を近付け軽くキスをする。
目をゆっくりと開けると、
秋雨とバッチリ目があった。
「〜〜〜〜!!」
腰を引き寄せらせ
再びキスをされる。
熱く濃厚な息をすることを忘れるほどのキスだった。
「ふ…っ…あっ。」
「寝込みを襲うなんて悪い子だ。」
軽々と足の上に乗せられた私はもう身動き一つ取れないでいた。