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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。
何気ない朝だった。
仕事から帰ってきて少し寝たのかさえわからない秋雨が
いつものように朝食を準備して待っていてくれた。
少しいつもと違うのはなぜか…
彼が眼鏡をかけ、新聞へと目を通している。
「秋雨?気になる記事があるの?」
滅多に新聞なんで読まない彼が珍しい。
そんな彼は新聞から目線を反らすことなく私に告げた。
「凛ちゃん…籍、入れようか。」
私の箸から挟んでいたトマトが落ちて、
コロコロと秋雨の前まで転がった。
口の端をあげ、笑う秋雨。
「どう?賛成?反対?」
「賛成です…」
「なら良かった」
眼鏡の奥の目が細まった。
「なら、挨拶行かないとね。
プロポーズしてるのに、挨拶してなかったし。」
「…そうですね。」
「なら今週ね。」
勝手に淡々と決めて新聞を畳むと
おやすみ。と私の額にキスを落とし寝室へと行ってしまった。