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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。


「僕には父の記憶はありません。
父親と言うものがどんなものなのかも…知りません。

けれど…
今日、凛さんのお父さんと接して…
温かいものなのだと思いました。


そして、家族がこういうものなのだと…
感じました。


…ありがとうございます。」

秋雨が頭を下げると、やはり父は笑っている。




「凛と…幸せな家庭を築いて下さい。
きっと…娘にはそれが出来ると思う。」



「お父さん…」

「ありがとうございます!!!」


秋雨が私の方を向き、笑いかける。

抱きつきたいところだけど…
それをこらえて私も笑いかけた。





それから秋雨と私は
私が一人暮らしを始めるまで使っていた部屋へと
二人で泊まることになった。


まだ部屋はそのままにしてある。


「良かったね…秋雨。」

「いいお父さんだね。」



秋雨が私の頬にキスをする。

「これで凛ちゃんは一生、俺のものだ。」


秋雨の手が私の頬に当てがわれ
今度は唇に長いキスを落とした。
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