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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。
「凛はね…甘えん坊だったんだ。
君にも苦労をかけていないか?」
「いえ、素敵な女性です。
僕には勿体無いくらいで…」
心の中でこの日にいる人全員が
イヤイヤイヤ…逆だろ!っとツッコミを入れたことだろう。
それを代表してか父が声を出して笑った。
「ハハハ…凛には勿体ないくらいの男じゃないか。」
…はい。お父さん。そうですとも。
その後も父は私の昔話をして
楽しそうに笑っていた。
そして…
「秋雨君、君のご両親は何をしているのかな?」
秋雨が黙った。
その横顔を私は…見つめることしかできなかった。
「僕には…両親がいないんです。」
少しだけ眉をひそめ…
申し訳なさそうに答えた秋雨。
父はその答えに…謝ることはなかった。
「そうか…」
場の空気が静まり返る。
けれど父は…ただ、秋雨の言葉を待っているかのように何も話さない。