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せめて夢の中だけでも
第41章 another story。side秋雨
「秋雨…?」
「ん?」
「…泣かないで…」
そう言われて気付いた。
自分の目には涙が一杯溜っていたこと。
凛ちゃんがボヤけて…
笑うと涙が頬を伝った。
『安心』だった。
「良かった…凛ちゃんいなくなってしまうかと思って」
「やだ。秋雨を置いて行ったりしないよ?」
強く握られたその手を口元へ近付け
キスを落とす。
「……2、3日は検査のため入院だから
俺もここにいるからね。」
「だめよ!仕事!」
「いいよ、凛ちゃん。
秋雨はしばらく休ませるさ。
こんなんじゃ、こいつ仕事にもならねぇよ。」
仁さんが豪快に笑うと
凛ちゃんはすいませんっと頭を下げていた。
こんな形でゆっくり過ごせるのは残念だったけど…
今は離れたくはない。
「隼人君に連絡は入れとくから。
ユックリ休むんだよ?凛ちゃん。」
そうおでこを撫でると
くすぐったそうに片目を瞑る。
その瞑られた目にキスをすると、
もうっ!と恥ずかしそうに照れる。
俺の肩を叩く凛ちゃんの手を力強く引くと
精一杯抱きしめた。