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せめて夢の中だけでも
第6章 現実か空想か



…けれど…さっきの、あの光景は
『嘘』だと思いたかった。




けれどこの胸を締め付ける痛みが…
それが『現実』だと突きつけてくる。



私の片思いの相手の彼女が…
浮気をしている事実と




私に優しく微笑んでくれた彼が…
やっぱり他にも女がいた事実。


二つ同時に突きつけられるのは


苦しかった…





ゆっくりと歩く足を止め
そこでようやく気付いた…。





私は泣いていた…。




温かい涙が一つ…また一つと地面へと落ちていく。




「あれ…もうっ。何に泣いてるのよ…」





「…隼人っ…あんたのせいよ…」






私はその場からしばらく動けなかった。



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