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せめて夢の中だけでも
第6章 現実か空想か
彼女は真っ直ぐ、秋雨のお店へと向かっていた。



店の前で止まると何やら電話をし始める。
電話を切った後、しばらくその場で待っていた。



すると螺旋階段の上の入り口から…



秋雨が降りてきた。






…ドクンっ…ドクンっ…




見てはいけないものを見ている気がした。






彼女は秋雨に気付くと笑顔を見せ
人目もはばからず秋雨に抱きついた。





世界がまるでスローモーションのようだった。



秋雨の笑顔と彼女の笑顔…
それはどこからどうみても

『恋人同士』だった。





そのまま、秋雨は
彼女の唇に軽くキスを落とす。






私はそこまで見ると…ゆっくりと
駅へと引き返した。





「女たらし……バカ…」




始まっていない私達の関係。
ただの一度きり…



そんなの解ってたのよ。


…解ってた…
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