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せめて夢の中だけでも
第9章 覚悟を決めて
……………………………………


時計はもう深夜2時。


私は仁さんの計らいで
スタッフ用の事務室で待たせてもらっていた。


もうお客さんも帰って行って
表の看板の明かりも消されていた。



「お疲れ。」


「お疲れ様です。」


秋雨が事務室に入ってきた。




その姿を見るだけで、胸が締め付けられる。
気持ちを確認しただけなのに…
顔が熱く沸騰しそうなほどだった。



「凛ちゃん。待っててくれてありがとう。」


優しい、優しい彼の笑顔。



私は椅子から立ち上がると

「今日はありがとうございました!」

深々と頭を下げる。



彼はキョトンとした後、声を出して笑い出した。

「凛ちゃん。頭あげてよ。
もうビックリするでしょ…」


「だってっ!今日っっ。
本当は30本も無かったのに…探してくれて。」



「もう…仁さん…言うなよ。」


「悪りぃ、悪りぃ」


仁さんは悪そびれた様子もなく
軽く謝っていた。
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