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せめて夢の中だけでも
第9章 覚悟を決めて

「で?凛ちゃん…ここに残った理由…

聞かせてくれる?」


「えっ?理由…?」




「…覚悟…決めてきたの?」



顔がスッと私の前まで近付いてくる。
咄嗟の事で私は顔を後ろに反ってしまった。


クスッと秋雨は笑うと私の髪をサラッと撫でた。


「一晩…凛ちゃんを頂戴。」




周りのスタッフがニヤニヤなのか
クスクスなのかそれぞれに笑っている。


恥ずかしくて、穴があったら入りたい気分だった。




「秋雨…さんっ…」


「秋雨でしょ?敬語はいらない。」


「仁…さんっ…」


堪らず横にいる仁さんに助けを求めると
頬を秋雨の両手で捕まえられた。


「他の名前は呼ばない。
今、見るのはこっち…」



綺麗な澄んだ目で真っ直ぐみる秋雨に
耐えられず…私は顔を真っ赤にして俯いてしまった。



…無理っ!無理無理。耐えられない。


やっぱり秋雨は…

女たらしだっ。
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