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せめて夢の中だけでも
第9章 覚悟を決めて

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「ん…」





ゆっくりと目を開けると

いつか見たこの光景。



隣に寝ているのは


『オトコ』




フフッと笑うと私は秋雨の髪を
何度か撫でた。





「んん…」




彼の目がユックリと開き
私へと微笑んでくれる。



「おはよーございます」



シーツに顔を半分隠して照れ笑いする。




「熱い夜をありがとう。凛ちゃん」




いつの日だったか…あの日と同じセリフを繰り返し秋雨。






「こちらこそありがとう。秋雨」




そう返すと秋雨は
私を強く抱きしめた。



「覚えてた?」


「フフッ。もちろん…」


「こんなイケメンを覚えてない凛ちゃんも
凛ちゃんだけどねー…」




悪戯っぽく笑った秋雨の頬をつねった。



「もうっ!」


「ごめん、ごめんっ



でも…これで俺たち

何もなかったわけじゃないだろ?」





そうだ…覚えていない一度きりの関係じゃない…

ちゃんと、お互いの意思で繋がったんだ。
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