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やさしいキスをして?
第10章 番外編
『ゆうひくん、元気になってよかった!』
『うん。あさひちゃんも、よかった!』
ぼくのカゼはすぐ治って、いつも通りにあさひちゃんと幼稚園に行ける日が来た。久しぶりにあさひちゃんと話していると…あることに、ぼくは気がついた。
『あさひちゃん…アレおぼえてる?お昼寝のときに約束した、おみそしるのこと…』
『…?お昼寝のとき?何だっけ?』
『おぼえてないの?』
『うーん…わかんない。』
ずっと高い熱でうなされていた、あさひちゃん。その間、怖い夢をたくさん見たらしい。あさひちゃんは忘れたんだ。あの日、熱を出す前に話していたこと、忘れちゃったんだ。
そうか。忘れたんなら、ちょうど良かった。もう一度言うチャンスが出来たんだから、今度こそ大人になってから伝えよう。そんな風に、ぼくは思った。