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11月の雨
第2章 イサム
下りの電車に乗っている間も
気分は晴れなかった。
真っ直ぐ帰る気になれない。
途中で降りたら
駅前に 見慣れた光景が広がっていた。
後悔した。
知っているショットバーに入った。
客が居ない店内で はじめて気付いた。
まだ昼だ。
「ウイスキー」
お湯割りを出された。
慣れていないウイスキーを飲んだ。
飲み干した。
「ウイスキー」
バカの一つ覚えのように
それだけ連呼した。
他の言葉を出そうとすれば
悪態しか出てこない。
そんな気がした。