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11月の雨
第2章 イサム
……済んだ後は
ただ、後悔していた。

もっと軽い気持ちで
楽しめればいいのに

誰でもいいと思っていたのに
結局、後悔ばかり募っている。


”誰でもよかったんだ”と。


「ウイスキー」

差し出されるグラス。

オーダーしてからの 間が
無言で催促していた。

”その辺にしておけ、若造”と。


悪夢のように酔いが回っているのに
何でそんな事に 敏感なんだろう。

自己嫌悪で 更に視界が黒くなる。


店を出て
歩き出した。

身体が 視界ごと
上下左右にぐらついている。

時間がわからない。 
空を 鈍色の雲が覆い尽くしている。

帰る気にならない。

この町を歩いたら
このまま歩いたら、
行ってはいけない場所に行ってしまう。

頭の片隅で理解してるのに
歩いている。
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