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旦那様☆ロマンチスト
第3章 疑惑の旦那様
頭の中はその二人の姿に埋め尽くされていた。
敏さんの私じゃない女性に向けたその笑顔が悲しくて、どうやって家に帰って来たのか覚えていないぐらいだった。
さっきの二人がグルグル何度も頭の中で再生されて、しつこいぐらいに頭から離れない。
なんで、すぐ追いかけて声を掛けなかったんだろう―――。
すぐにスマホに電話すればよかったのに―――。
なんて、後から後から色々、ああすれば良かったと思い悩みはするものの、その時は咄嗟には躯が動かなかった。
さっきまでの、ウキウキした気持ちは何処かに飛んでいってしまった。
家に帰って来てからも、ソファーにうずくまり悶々としていたら、みーちゃんがそっと擦り寄って来て、私の膝に乗って来た。
その躯を伸ばして、一筋涙が零れた私の頬をペロリと舐めた。
―――もしかして、慰めてくれてるの?