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旦那様☆ロマンチスト
第7章 妄想する奥様
客間で眠れないまま。襖の方に背中を向けてじっと眠りが訪れるのを虚しく待っていると、敏さんが帰宅した音がした。
敏さんは、私が客間に寝床を移動したことに気付いたみたいだ。
そっと襖を少しだけ開けた気配を感じ、暗い客間に一筋の光が差し込んだ。私は寝たふりをしていることを気付かれないよう躯をじっと固くする。
「みーな」
敏さんはひどく優しい声で私の名前を呼んだけど、私は寝たふりをしたままその声には答えない。私の足元に丸まって寝ていたみーちゃんが、にゃーおと鳴きながら敏さんの方に向かっていく為に躯を起こした気配に、足元から温みが消えた。
―――みーちゃんの裏切りもの。
敏さんが眠っている私に気をつかうように、静かにそっと襖を閉めると、客間は暗闇に包まれて。私の目からはまた涙が止まらなかった。