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恋のリサーチ
第5章 聖夜を・・
「さて、他には?
何か言いたい事、もうないのか?」
エスプレッソの小さなカップを揺らしながら
挑発するような目つきで私を見る。
もうわかっちゃったのかな、私の言いたい事・・
「あります」
「なんだ?言ってみ?」
「私も・・私も聖夜を味わいたいです」
言えた・・言ってしまった!
今日、自分の気持ちに正直に従おうと決めてきた。
朝のカフェで一緒に過ごす時間よりも
何倍もの長い時間を一緒に過ごして、心が決まった。
誰でも、どんな夜も
聖夜になるというなら
私の夜も聖夜にしてほしい・・・
断られるかもしれない。
それならそれで仕方ない。
でも言わなければ、絶対後悔する・・
「よし!よく言った!
紺ちゃんが自分の口から言い出すの、待ってたぜ。
まぁ、もし言わなかったらオレから言うつもりでいたけどな」
「ほんとに・・?」
彼もそのつもりでいたなんて・・
それはどういう類の気持ちからなんだろう・・?
相変わらずの悪い癖は抜けない。
白黒はっきりさせたがる私だが、そんな事口にして
ぶち壊してしまったら大変だ。
彼は聖夜を味あわせてくれると言ったんだ。
それがすべて・・
「ありがとう」
「じゃあ、行こうか。
今・・8時過ぎか。遅くなるけど
ちゃんと家まで送っていくから」
ウェイターにチェックの合図をし、やってくると
即座にクレジットカードをトレーにのせる。
会計は素早く済まされ、私たちは席を立った。