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恋のリサーチ
第2章 彼の目的
「おーい、こっちこっち!」
カウンターでコーヒーを受け取り
振り返ったとたんに声がした。
朝はみな一人の客ばかりだから、人の声は、
特に呼ぶ声はかなり響く。
何人かの客が聖夜に視線を送る。
いぶかしそうな、迷惑そうな視線を。
そんな人のところへ行くなんて、なんだか
すごく勇気がいるような気がしてきた。
彼の前に座ったら、
この二人どんな関係?なんて思われちゃうのかな・・
不釣り合いな男と女。
そんな目で見られるんだろうな・・
でも私は彼の待つテーブルにむかって歩き出した。
目の前まで行くと、おっは~!と
朝っぱらから疲れさせるような高いテンションで迎えてくれた。
「おはようございます。あの、
ホントにいらしてたんですね」
テーブルにコーヒーを置いて、
バッグは椅子の背もたれの端にうまくひっかけて、
それからゆっくりと腰掛けた。
「言ったじゃん!また明日って。だから
いるにきまってんじゃん。
ホスト、ウソつかない」
宣誓をする時のように片手をあげる聖夜。
威圧的な表情とこんな無邪気な表情と、
よくもまあうまいこと使い分けられるな・・
さすがホスト、と褒めるべきかもしれない。
「あの・・聞いてもいいですか?」
「なによ、なにが聞きたいの?」
ギアチェンジが早い。
また威圧的な目を向けながら腕を組み、足も組んだ。
「なんで・・なんで私みたいに地味な、
おまけに歳いった女に声かけたんですか?」
この男に興味もわいた。話もしてみたい。
でもその前に、なぜ私なのかを聞いてみたい。
選ばれた事には間違いない。
どんな理由であろうとこの男がこの店の客の中から
私を選んだことは間違いない。
その事実だけでも十分だろうに、やっぱり知りたい・・