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恋のリサーチ
第2章 彼の目的


意外だった。

まさかそんな常識的で真剣な内容だとは

思ってもみなかった。


客を楽しませるために努力をしている。

見ず知らずの女に声をかけてまで、教えを乞う。

チャラい風貌の裏側で、実は

真面目に商売というものを考えている。

ホスト、に対して持っていたイメージを

いい感じで壊してくれたこの男に、ますます興味を持った。



「仕事熱心なんですね、聖夜さんは。

 私とは違う・・

 あ、ちなみに私OLじゃないです」


「じゃなによ?」


「販売員です。デパ地下で海苔とかの売り場にいて・・」



聖夜のように、仕事に対する何かを語るような、

そんなやる気は持ち合わせていない。

この人よりも長く仕事というものをしているだろうに・・

なんだか惨めな気持ちになった。



「へぇ、もしかしてそこの、鶴亀屋?」


「あ、いえ、あの・・」



デパートに勤めていて、

出勤前に近くのカフェに立ち寄っている。

そう聞けば簡単に答えは導ける。

すぐそこにデパートがあるんだから、

わかってしまって当然だ。


どうしよう・・不安は顔にしっかり出ていたようだ。

聖夜がチッチッと人差し指を振り、



「だ~いじょうぶだよ!店に行ったりしないから。

 だって海苔なんか買わねーもん」



見事なまでに私の不安は彼に伝わった。

でも店に来たりしないって言ってるんだから、

彼を信じて安心していいんじゃない?・・



「それよりおねえさん、時間、いいの?」



ハッとして壁の時計を見る。ちょうど時間だ。

9時5分。

今日はいつも通りに行動できる。



「ありがとうございます、気にしてくれて。

 でも肝心な話ができなくてすみません」



そう、彼の聞きたいに何一つ答えていない。



「続きはまた明日・・っと、明日の朝は休みだ。

 今夜は仕事休みだからさ、明日の朝はここにはこないよ。

 だから明後日、か」


「あ、私も明日は休日なんで、ここには来ないです。

 なんか、ちょうどよかったですね」



なにを嬉しそうに自分のことをしゃべってるんだろう。

まだ2度しか、それもわずかな時間を

たまたま一緒に過ごしただけの相手なのに。

そのうえ気持ちまでも。

明日会えないのは自分のせいだけじゃない。だからよかった・・

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