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第25章 花梨、狼と戦う

小さな拳でぽかぽかと佐和紀の胸を殴った。
佐和紀はひょろりとした見た目に反して胸板にもしっかり筋肉がついている。
だからあたしが殴ったところでビクともしない。
今日はいかついリングも全部外しちゃったし。

しばらく余裕の表情で佐和紀はあたしの無駄な行動を眺めていた。

やがて、手首を押さえつけられる。
噛みつくようにキスされた。

「んっ……ん……！」

唇を割り開き、舌が遠慮なく押し入ってくる。
絡め取られ、吸われる。
上顎をくすぐられ、気づけは自分の舌も相手の口内へと誘われている。

「ふぁ……っあ……！」

目がチカチカする。
こいつ、キス上手すぎ――！