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アナザー☆ステップ
第7章 太基、冬の海に行く
そして当日。
天気はあいにくの曇天。
三月は暦の上ではもう春だけど、まだ波は黒くて冷たい。
太平洋を渡ってきた風が耳元でびゅおびゅお唸っている。
俺の前を歩くまどかちゃんのブーツから、さくさくと砂を踏む音がした。
灰色の浜辺で、長い黒髪が踊っている。
どこまで歩くんだろう、と思った瞬間、まどかちゃんが振り返った。
「これ!」
突き出されたのは、赤いラインの入ったビニールのラッピング。
たぶん、中身はブラウニーだよな。