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アナザー☆ステップ
第8章 まどか、返事をもらう
どうしよう、明日はもうホワイトデーだ。
オーブンから取り出したブラウニーは、ココアパウダーの色以上に黒くなっていた。
一月近く作り続けているのに、一向に上手くならない。
脳裏に太基さんの顔が浮かぶ。
ホワイトデーまでには、ちゃんとしたものをあげたかったのに。
台所に入ってきた弟の律(リツ)が、焦げ臭さに顔をしかめた。
「ねーちゃん、また失敗したの?」
無言で睨み付けても、律はびくともしない。
弟は私の五つ下で、まだ小学六年生だ。