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第17章 救出

ーーー東の邸ーーー


ガジャン

拷問部屋の鉄の扉を不機嫌そうに閉めてバドルが居室へ向かってきた。

執事をはじめ使用人たちはバドルの顔色を伺っていた。


「おい！チャンを呼べ。


　あの女はつまらん。泣きも喚きもしない

　泣き叫ぶ女を切り刻むのが興奮するというのに、あの女は何をしても声もあげず気を失ったままだ。


　チャンに好きにしろと伝えろ

　まだ、売り物にはなるだろう」


執事は静かに


「かしこまりました」

と返事をして居室を出た。




執事はそっと邸の奥の部屋に入り電話を取った。


「宰相さま。

　バドル王子がチャンを呼びます。

　そちらのご準備はいかがですか？」


「だいぶ整った。

　チャンが東の邸に着くのはいつ頃になる？」

宰相は静かに問う。

「まだ連絡はしておりませんが

　国境付近にいるようですので

　早ければ明日には到着するかと」


「うむ。わかった。

　ロイド王子は既にこちらを出発している。

　夜半過ぎにはそちらにつくだろう」


「かしこまりました」



電話を切った執事は奥の部屋を出てバドルのいる居室に近い電話を取った。



「チャンさんですか？

　バドル王子が女を差し上げたいと申しておりますが」


「なんと。あの女を？

　早速明日の夕方に引き取りに行こう」


「バドル王子にお伝えいたします」