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顧みすれば~真の愛~
第32章 失われた時を
部屋に向かってパタパタと走ってくる足音が聞こえる。


私の部屋の前で止まると

呼吸を整える気配がした。


「お姉さま、入ってもいいかしら?」


「百合さん?どうぞ」


3歳違いの妹は綺麗な所作で部屋に入ってきた


周りの大人から


私は薔薇のような華やかさがあり


妹はその名のとおり可憐で凛とした美しさがあると


評されていた。


タイプは違うがとても美しい姉妹として評判だった。



私は4年制大学へ進んだが


妹は短大へ進学し


卒業して二十歳で女将修行に入った。


「お姉さま お帰りなさい。


 元気なお顔を見られて嬉しい」


妹は私の手を取り


本当に嬉しそうに笑った。



笑うとエクボがでて


本当に愛らしい。


妹もきっと聞いているだろうに


敢えてその事には触れてこない。


他人行儀に思われそうだが


まだ心の整理がつかない私には


そうしてくれることがありがたかった。


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