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第41章 山下紗英になること

「紗英、明後日　日本へ帰るんだよな」


軽い朝食を取りながら直哉さんが聞いてきた。


「ええ。百合と奈々の結婚式があるから。

　寂しいからって浮気しないでね」


直哉さんは私の顔を見つめながら


「浮気はしないけど寂しくて死んでるかも」


なんて悲しそうに呟く。


「もう。

　結婚式が終わったらすぐに帰ってくるから」


直哉さんと暮らし初めて気付いたのは彼がとても寂しがり屋だということ。

そんな彼の頬にチュッとキスをする。


「そんなキスじゃ元気でない」


そう言って私の後頭部を押さえて官能的なキスをする。


私の唇を離して


「やっぱり我慢出来ないから俺も日本に行く」


「え？」


驚く私ににっこり笑って


「冗談。

　母さんから用があるから俺も帰国しろと言われてるんだ」


少年のように微笑む。