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トラワレテ…
第6章 確信
「ユリ……。おいで…。」



大きな手がユリの頬を包み込み
その温もりを感じた途端、涙が溢れだした。



ユリを力強く抱き締める腕が
僅かに震えていた。



「ごめん…。守ってやれなくて……ごめん…。」


首を横に振ることしかできないユリを
更にギュッと抱き締め



「もう二度とこんな思いさせない…。

誰にも触れさせない…!


………俺が…ユリを守るから…。」




ユリの瞳からは

さっきとは違う、涙が溢れていた…。





「古西さん…。俺…彼女を連れて帰ります。」






社長からユリの荷物を受け取り、

人の目を避けホテルをあとにする馨の手は

ずっとユリの手を握ったまま

離れる事はなかった。

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