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トラワレテ…
第2章 堕ちて
その夏の猛暑のニュースが落ち着き、少し肌寒さを感じ始めた頃、馨と出逢った…



「ユリせぇ〜んぱいっ!呑みに行きませんっ?」

突然後ろから甘えた声が飛んでくる。

「イケメンシェフのいるバル見つけたんですぅ〜♬*゜」

辺りにヒラヒラとお花を飛ばしながら愛莉はうっとりした目で見つめてくる…


(相変わらず、かわいいなぁ……///)

自分に無い愛らしさを眩しくも羨ましくも思いながらユリはかわいい後輩の誘いを断った。

「今日はムリ〜…コレ終わらせなきゃ…。来週のどっかでいこ?」

「えぇ〜?!金曜日に残業って悲しすぎません…?せんぱぁ〜い?それに目の下クマ出来てますよ…」

「…くっ!…骨身に染みるお言葉ありがとう……」

「愛莉がお手伝いできたらいいのにぃ…」

二人が勤めるのはアンティークの家具や輸入小物を扱う高級セレクトショップ。
愛莉は男女問わず愛されるキャラに助けられ、接客には向いているが、ユリの仕事を手伝える程の能力はない。当の本人がそれを一番理解していた…。

「ふふふ」

「ユリ先輩みたいに仕事のできる人、今のところ他にいませんもんね…社長の超!お気に入りですもんね〜♬*゜」

「んも〜!褒めても何も出ないよ…///
それよか愛莉。今日は彼氏んとこ行かないの?」


「彼氏今日まで出張なんです…。はやくあしたになんないかなぁ〜…」

明日からの事に思いをはせる愛莉はクネクネと自分の世界に浸りだした…。

「ハイハイ!ごちそうさまっ!早く帰って彼氏のために自分磨きしなっ!」

「ちえっ…。先輩も仕事ばっかぢゃ、枯れちゃいますよ!キレイなのにもったいない!今度イイ人紹介しますねっ!!」

「アタシはい〜の!今は仕事が彼氏!!!さぁ、帰れ帰れ〜!!」

軽く愛莉のオシリを叩いて追いやるように、帰らせる。


(今は男なんて…。ただの邪魔!)
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