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トラワレテ…
第7章 氾濫
愛してる…
その台詞はかつての自分の辞書には
存在していなかった…。
肉親へ向けてのそれとは全く違う
甘く切ない感情…。
今、腕の中で、
馨に背を向けすっぽり収まった格好のまま
小さな寝息をたて眠る
愛おしい女…。
初めて紡いだその台詞に
彼女は全身全霊で答えてきた。
(もっと感じて…!
もっと溺れてくれっっ…!)
そう願う俺の想いは
確かに聞き届けられた…。
でも…
溺れたのは…俺の方。
あんな事の後…
本当は優しく抱くつもりだった。
ゆっくりと少しずつ彼女の躰をほぐしながら…
途中で辞めたって構わない。
そう考えながら彼女に触れた筈なのに…
腕の中で眠るユリの頬には乾いた涙の跡…
彼女はその間、
始終、涙を流していた…。
馨の与える激しい快感に
自らを飾る事なく、
感じるままに反応する彼女の躰…。
その全てが
俺を狂わせた。
「…ごめんな………。ユリ…。」
そう言って涙の跡にそっと口づけ
愛しい女を腕の中に閉じ込める馨の瞳は
溢れ出る感情で潤み、揺れていた…。
抱いてきた女の数は
正直な所…数え切れない。
それなりに経験してきた…つもりだった。
今思えば、
こんなにも我を忘れて求めたのは
馨も初めてだった。
求めずとも、
今までの女たちは簡単に啼き声をあげた。
やろうと思えば、何時間でも何回でもできた。
絶倫体質
本人は知らないが、
抱かれた事のある女達の間では
周知の事実だった。
一度抱かれると、忘れられない…。
何人もの女達にそう言わしめて来た馨。
ユリに対しては、
全くコントロールが効かなかった…。
抱かれたのは彼の方…。
名器と自慢する女は何人もいたが、
腕の中に眠る彼女からは、
そんな程度の女達とは
比べ物にならない衝撃を受けた。
肌を合わせた時に感じた電流は
その預言みたいなものだったのか…!?
彼女と繋がった瞬間に感じた感覚は
馨の頭の中と自身に大爆発を起こした。
馨の腰は言う事を利かず
小刻みに震えていた。