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片想いの行方 2
第12章 叶わない願い
「……ヒメ……」


ここ最近覗かせていた、切ない表情でヒメが微笑んだから

言葉にできない想いが込み上げてきて、心が苦しくなる。

………今になって

ヒメがそう願う理由は………


「……戻るか。
とっくに1時過ぎてたな」


お昼の時間が過ぎて、いつのまにかほとんど人がいなくなっていた屋上。

ヒメは椅子から立ち上がると、コーヒーのカップを潰して歩き始めた。

その後ろ姿を見つめながら……

私の願いを聞いた後、17歳のヒメの呟いた言葉が

図書室の情景と共に、私の脳裏に鮮明に蘇ってきた。



『 恋をして、1番好きな人と一緒になれずに泣いた奴にも。

………いつかは

“ 他の誰か ” が現れて、救ってくれたりするんじゃねーの 』



「…………っ」



さっきまで心地良く感じていた風が急に強くなり、体を冷やしていく。

心臓が壊れたように鳴り続けて、胸騒ぎが治まらない。



………艶のある黒い髪と


どんな人でも惹きつける優しい微笑み


彼を知る人なら、ヒカルさんを一目見ただけで気付くだろう。



………蓮くんを


強く感じることに………


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