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片想いの行方 2
第13章 5分の差
「なんだ、もう明日には提出できるのか。
相変わらず何もかもが早いな。
お前の24時間どうなってるんだ」
「素晴らしいご指導のお蔭ですよ。
尊敬するOBの部長が直属の上司なんですから」
「ははは、言ってくれるな。
気分がいいから今晩行くか」
「ホテル以外なら、どこでも」
こんな会話は日常茶飯事だけど、上司はデカイ体を揺らして豪快に笑う。
俺と同じ大学を主席で卒業し、当時のラグビー部副主将。
50歳を過ぎた今でもその威厳ある風格は健在だ。
「この俺にそんな返しができる若い奴はお前くらいだよ、鈴木。
俺の恋人にならないなら、代わりにうちの娘はどうだ」
「残念ながら、彼女いますんで」
そこだけ真面目か!と突っ込む上司と俺を見て、周りの同僚たちがケラケラと笑い出す。
金と出世の為なら、蹴落としてでも伸し上がるのが当たり前なこの会社でも
俺のいる部署は、上司を中心にいい連中が集まっていた。