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片想いの行方 2
第13章 5分の差
………4月になっても、相変わらず海外と国内の往復が続いているけど
就職して6年目の春を迎え、それなりに地に足を付け、自分の位置が確保できつつある。
余裕と感じる日は1日もない代わりに、充実感は確実に増していて
………その理由が明確になった今
あのバレンタインの暴走劇も、無駄ではなかったんじゃないかと思えてきていた。
………いや
そんなことねーか………
「報告書じゃなくて、お嬢さんとのお見合いの話でしたら。
俺、何度も丁重に……」
「いや、例のストーカー女の話だ」
上司の言葉に、俺だけでなく周りの奴らも顔を上げる。
どれだけ耳がいいのか、隣りの部署の女達まで、そろりと近付いてきた。
「……じゃあ、外で……」
「いや、いいよここで。すぐ終わる」
そーいう意味じゃないんだけど、心の中で呟きながらも
小さいことに気を遣わないこの人には、周りの視線なんてどうでもいいらしい。
「最後はお前のマンションまで押しかけてきたんだよな?」
「まぁ……そうは言ってもエントランスから覗かれる程度でしたけどね」
「十分危ねぇよ。
モテるお前にとっちゃ大したことないのかもしれないが、立派な犯罪だ」
上司は顔を歪ませて溜息をつく。
「会社の判断で、彼女は強制解雇にしたよ。
明日からは安心して仕事に励んでくれ」
就職して6年目の春を迎え、それなりに地に足を付け、自分の位置が確保できつつある。
余裕と感じる日は1日もない代わりに、充実感は確実に増していて
………その理由が明確になった今
あのバレンタインの暴走劇も、無駄ではなかったんじゃないかと思えてきていた。
………いや
そんなことねーか………
「報告書じゃなくて、お嬢さんとのお見合いの話でしたら。
俺、何度も丁重に……」
「いや、例のストーカー女の話だ」
上司の言葉に、俺だけでなく周りの奴らも顔を上げる。
どれだけ耳がいいのか、隣りの部署の女達まで、そろりと近付いてきた。
「……じゃあ、外で……」
「いや、いいよここで。すぐ終わる」
そーいう意味じゃないんだけど、心の中で呟きながらも
小さいことに気を遣わないこの人には、周りの視線なんてどうでもいいらしい。
「最後はお前のマンションまで押しかけてきたんだよな?」
「まぁ……そうは言ってもエントランスから覗かれる程度でしたけどね」
「十分危ねぇよ。
モテるお前にとっちゃ大したことないのかもしれないが、立派な犯罪だ」
上司は顔を歪ませて溜息をつく。
「会社の判断で、彼女は強制解雇にしたよ。
明日からは安心して仕事に励んでくれ」