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片想いの行方 2
第13章 5分の差
電話を切って、蓮が訂正した記念碑の前で思わずしゃがみこむ。


「……はぁ。
ほんと、どんだけなのよ」


冷静を装って素っ気ないフリをしても、遥かに上回るツボを突く攻撃で

結局あたしの心は、蓮に鷲掴みにされてしまう。


“ よく決意したよ、ヒカル。
頑張ったな ”


……何も言ってないじゃん。
なんで褒めてくれんの。


“ そう言うなって。
器用な手持ってるんだから ”


……それ、いつも言ってくれるけど。
マネージャーだったからそう感じるだけだよ。


“ 女なんだから、体大事にしろ。
お前の代わりは、誰もいないんだからな ”


「……………」


………トキメキとか、キュンとするとか

女心なんて皆無のあたしが、そんなの感じるはずがないのに

蓮があたしに告げるひとつひとつが、宝石のように胸の奥で光を放つ。


「……ばかやろう」


あたしの気持ちを知らないから、そーいうこと平気で言えるんだ。

……って、ずっと隠してきたんだから知らなくて当然だけど。


胸の奥に閉じ込めた、蓮への恋心。

本人も知らないこの片想いに気付いてるのは

………彼と同じ名前のヒメだけだ。
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