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片想いの行方 2
第13章 5分の差

27歳の今となっては、さすがに無理だけど

その頃のあたしは、冬でも半袖Tシャツ1枚で過ごせる女だった。

蓮がパーカーを貸してくれた時、既にあたしの首元は

隣りに座るヒメに、無理矢理巻かれたストールで温められていて

彼らの余計な行為によって、ますます周りの女達の怒りを買ったのは言うまでもない。


「……………」


ただの部活仲間だと思っていた蓮を意識し始めたのは、間違いなくあの時からだ。

エントランスから次々に出てくる商社のエリート軍団を見ながら、記憶を思い浮かべる。


否定し合っても無駄なくらい、よく似ている2人の蓮は

小さな事にも気付く優しい心を持ち、同じ神レベルな魅力で溢れていたけど

あたしはヒメを恋愛対象に見ることは無かった。


見た目も女関係もヒメの方が派手だったから、噂や話題は常に飛び交っていて

嘘か本当か、ヒメがずっと片想いをしている子がいるというのは耳にしていたし

気持ちいいくらい、ヒメはあたしを女として見てないと分かっていたから。


………男女の域をまるで気にしない、ヒメとの関係はあたしも心地良い。

だから、こうして何年ぶりに再会してもすぐに打ち解けられたわけで

ヒメとは今までもこれからも、仲のいい友人でいられると思う。
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