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片想いの行方 2
第13章 5分の差
「……人違いですので」


溜息をついて、その場から離れようとすると

2人は同時にキッとあたしを睨んで、エントランスの前を塞いだ。


「鈴木蓮くんなら、もうお帰りになりましたよー」

「…………!」


その名前を聞いて、ドクンと心臓が鳴る。

何千人って社員がいるのに、なぜその名が出るんだよ……

硬直したあたしを見て、2人はニヤリと笑った。


「やっぱりね。何が人違いよ。
自覚が無いって怖いわ~」

「部署へのイタズラ電話もあなたでしょ?
しかもたまに内線でかけてきたらしいし、頭悪いのね」


香水の匂いを振り撒いて、ケラケラ笑い合う2人。

………話の流れからして、あたしじゃない誰かの事だっていうのは確か。

だけど

金縛りにあったように、あたしの体は動かない。


「……ねぇ、まさか。
少しでも望みがあるって思ってたの?」

「…………!」


笑うのをやめた巻き髪の女が、低い声で続ける。


「蓮くんにはねぇ、CAやってる彼女がいるの。
私も一度見たことがあるけど、ものすごい美人。
性格も良いって噂よ」

「…………っ」

「そうね、しいて言うならあなたと正反対じゃないかしら。
……あなた、お世辞にも綺麗とは言えないわ」
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