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第16章 交代

.｡.:* side ヒカル *:.｡.｡.:**:.｡.｡.:**:.｡.｡.:*


「……なにやってんの、あたし」


展示ホールやギャラリーなどを備えた、多目的施設。

蓮の会社から脇目もふらず全力で走っていたら、この場所に着いた。

イベントやコンサートなどが度々行われる、開放された野外ステージの前まで来ると

誰もいない、1番後ろのスタンド席に腰を下ろした。


………ほんとに、バカだ。


初対面の上、人違いだっていうのに

数々の罵声を浴びせやがった女の2人組には、正直腹が立ったけど

………彼女達と遭遇したおかげで、自分の恥を晒さなくて済んだ。


「………趣味じゃないのに。
ショップの服なんて着てくるんじゃなかった」


完全に気合いが空回り。

自分が痛すぎて、残念すぎて

もういっそのこと消えてしまいたい。


定番のセレクトショップだけど、その中でもナチュラルな系統が多いうちの服。

パンクに近いハードな服が好きなあたしが、なぜこの会社に転職したのかというと

海外を飛び回る仕事に、体がついていかなくなったのもある。

だけど、それとは別にもうひとつ


………長年想い続けている好きな人に

少しでも女であることを意識してほしかった………


呆れてしまうほど、そんな単純な理由だ。