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片想いの行方 2
第16章 交代
「……ご、ごめん、ヒメ。
あたし美和さんに謝……」

「連絡してくるのが遅せーんだよ」


一気飲みした缶ビールをパキッと潰して

ヒメはポケットからハンカチを出して、あたしの膝の上に放り投げてきた。


「クソ真面目に考える性格のくせして、こーいうときだけは突っ走る。
………泣く前に、頼れよ」

「…………っ」

「1人で抱え込むな。
これでも……お前の気持ち、少しは分かってるつもりだ」


いつもの声のトーンに戻ったヒメが、あたしの方に体を向けたけど

……止めたはずの涙が、意思に反して溢れてきてしまって

その優しい眼差しを見る事が出来ずに、あたしはヒメから目を逸らした。


「ヒカル、俺を見ろ」

「……嫌」

「俺は、お前に……」

「だってヒメはもう願いが叶ったじゃない!」


与えてくれたハンカチに、手を触れることができず

ぎゅっと目を瞑ったまま、あたしの口は勝手に動く。


「早く美和さんの所に戻って!
好きな人が、自分を好きになってくれるって……本当に奇跡なんだよ。
その奇跡を、どうして大事にしないの!?」

「………ヒカル」

「人の事気にしてる場合じゃないでしょ。
ちゃんと……大切な人のことだけ考えなよ!」
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