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例えば、こんな...
第6章 バレンタイン企画
ケーキを食べ終えた食器を下げ、冷蔵庫からベリーのリキュールを取り出した。
一部冷凍の果肉を使っているが、店で桐生さんに味を確認させられて、文句なく美味かった。注文可能な単品として提供してあってもおかしくない。

……何となく、悔しい。

キッチンからダイニングに戻ると真純が急いで席に戻るところだった。
「どうかした?」
「いえ……」
慌てたように首を振る。
「そう……。今リキュール入れて飲む?それとも先に風呂入る?」
真純に悪戯してたから、時刻はソロソロ日付を越えそうだ。
「あ……お風呂、先でも良いですか?」
「良いよ」
応えて立ち上がる。グラスを下げようとして
「あ、私が下げます」
真純が同時に立ち上がった。
「うん、じゃあ一緒に下げよう」
二人でキッチンに向かい、グラスを受け取った。
「ありがとう。良いよ、先に入っておいで?」
「……はい」
頷いて、でも動かない。
リキュールを冷蔵庫に戻し、グラスを洗う俺の手元をじっと見つめてる。
「どうしたの?」
「あ、の……」
俯いて、はぁと息を一つ。言いたい事がありそうな様子に手を拭き、真純に向き直った。
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