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暁闇
第7章 記憶の中の雨
ふたりで、店へと歩き出しながら、俺はそれを伝える。
「そういう格好珍しいですね」
「え?」
少し驚いた顔をして。
「……似合わないって思われるかなって、ちょっと落ち着かなかったんだけど」
そんなふうに言いながらも、嬉しそうに。
「普段はね、少し大人っぽくしようと思ってるんだけど。
……本当はこういうのも好きなの」
「似合ってます」
「本当? ありがとう……」
その笑顔に、俺も何だか嬉しくなった。
店までは歩いて15分。
あおいさんや丈と会うときは、だいたい車で彼女の家に直行していた。
だから、一緒に歩くというそのことが、新鮮で。
なんだかとても、楽しく思えた。