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暁闇
第7章 記憶の中の雨
出されたグラスを口につけると、あおいさんは言った。
「……あれからもう3か月?」
「ああ……そうですね」
「こんなふうに、ごはん行ったりするようになるなんて、あのときは思わなかったな。
……しかも翔悟くん、丈とまで仲良くなっちゃうし」
「あおいさんが、丈と仲いいから。
丈も、あおいさんのことすごく大好きみたいだし」
「ん……大事よ、丈のこと」
微笑んで、俺を見る。
「あの子には幸せになってもらいたいの」
「……あおいさんていいお姉さんだね」
「え?」
「俺、兄貴にそんなふうに思ったことあったかなあ」
「翔悟くん、お兄さんいるの?」
「はい。5つ上なんで、もう27か28か……そんなぐらいで」
「今はどちらに?」
「実家にいますよ。結婚して子供も」
「え? じゃあ翔悟くん叔父さんなんだ」
「まあ……そう、ですね。
滅多に帰らないので、姪っ子に会ったのも数えるぐらいなんですけど」
俺の言葉に、知らなかったー、と笑いながら。