この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第7章 記憶の中の雨
「あ」
バーから出ると、外は雨が降っていた。
「また降ってきたんだ。お昼はやんでたのにね」
あおいさんがそう言って、バックの中を探る。
取り出した、折り畳み傘。
「一応持ってきてよかった」
広げて、はい、と俺の方にも傘を差し出す。
「あ、俺、持ちます」
傘の柄を、掴む。
「ありがとう、翔悟くん」
相合い傘をして、駅までの道を歩く。
彼女の方に傘を傾けながら。
右肩に感じているはずの冷たさ。
けれどそんなのはまったく気にならなくて、ただ、あおいさんが濡れないようにしたかった。