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暁闇
第9章 その予感は
10月も半ばを過ぎた頃。
その、約束の日。
俺があおいさんの家に着くと、入れ替わるように丈は駅へと彼女を迎えに行った。
いきなりあおいさんと二人きりになる。
久しぶりに会ったせいか、俺はなんだか少し緊張していた。
――会えない間、あおいさんのことをいろいろ考えてたせいかな……。
けれど、あおいさんは俺の様子など気にも止めず、いつものように話をしてくる。
料理の準備をしながら、丈のこと、丈の彼女のこと――――いろいろと。
そして話しているうちに、俺の緊張か何なのかよくわからない感情も、落ち着いてきて。
「……そういえば翔悟くんに会うのは久しぶりだね」
そんな、今更な言葉に
「ですね」
笑って答える余裕も次第に出てきて。
「でもあんまり久しぶりな気がしないな」
「そうですか?」
「……電話やLINEで連絡取ってたからかも?」
ふふ、と笑う。
会わないと見られないその笑顔を、俺は素直に可愛いなと思った。