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暁闇
第9章 その予感は
「じゃあ、座って?
丈に、結ちゃんが何好きか聞いてたから、いろいろ作ってみたの。
お口に合うといいんだけど」
そう言って、食事の用意をする。
もうほとんど出来上がっている、それを始めとするたくさんのご馳走。
並べるのを俺も手伝った。
あっという間に、テーブルの上が料理でいっぱいになる。
「すごい! 丈くん、お姉さんのお料理はとてもおいしいんだってよく言ってるんです」
「ちょっ……結!」
「ほんと? この子家では何にも言ってくれないのよ?」
「俺にはちゃんと言ってくるよ、姉ちゃんの料理はうまい、って」
「翔悟さん!?」
もう、と溜め息をついて俯いた丈に、みんな笑った。
あおいさんは、すごく嬉しそうにそんな丈を見ている。
俺はそんなあおいさんを見ながら、やっぱりこの家は居心地がいい、そんなふうに思っていた。