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暁闇
第10章 上書きされていく
「やっぱ俺たちは友達の位置がベスト、ってことだろ」
「だね~」
「ま、早く次の彼氏見つけろってことで」
「……そういう村上はその後どうなのよ」
「あ? 俺?」
「まだ琴音のこと好きなの?」
坂本の、その突然の直球。
俺は思わず言葉に詰まり、コーヒーに手を伸ばす。
飲んでから、そうだこれ甘かったんだっけ、と思い出して、少しむせてしまった。
「……動揺しすぎでしょ」
坂本が、そんな俺を見ながら大きく息を吐く。
「言っとくけど、あのふたりに入り込むのは無理だと思うよ?」
「……そんなつもりねーって。俺はもうちゃんと諦めてるよ」
「え? そうなの?」
俺の言葉に、大きな目をさらに見開いて坂本が反応した。
「ん」
「へえ……3月のあのときはまだ、未練ありそうに見えたけど」
確かに。
あのときは、まだそうだった。
でも――――。