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暁闇
第10章  上書きされていく


「まあでもそれ聞いてほっとした。
村上には幸せになってもらいたいってほんと思ってるから。
……琴音のこと諦められないままだと、それも難しいもんね」


自由奔放のように見えて、実はしっかりしてて友達思いの坂本。
それが分かっているから、俺も桜井も彼女の存在を大切に感じている。


「どう? 諦めると周りにも目が向くでしょ?
新しい出会いとか、あった?」


にやにやと、楽しそうに聞いてくる。
俺はあおいさんのことを言おうか言うまいか、少し迷った。


「……あったな」


そしてそんな俺の様子だけで、それを当てる坂本。
……まったく。こいつには隠し事は無理だな。


「ねえ、どんな人?」

「いや、別にまだそんなんじゃねーから」

「そんなんでもどんなんでもいいから教えてよ」

「ただ、いい人だな……って思ってるっていうか」

「そう思える相手ができたってのが重要なんじゃん!」

「そんなんお前にだって思ってるし」

「なっ……!」


ぐっ、と言葉に詰まる坂本。
あれ? 俺なんか変なこと言った?


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