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暁闇
第10章 上書きされていく
そして俺は、話し始めた。
と言っても、出会いとかそういうのば省いて。
相手は2歳上の女性で。
彼女の弟とも親しくさせてもらっていること。
優しくて、弟想いな彼女。
会っていると、楽しくて。
流れる穏やかな空気はとても居心地がよくて。
彼女のことをどんどん知りたくなって。
俺のことももっと知ってほしくなって。
……そういう、ことを。
話し終えた俺に、坂本は
「へえ……村上にそんな人いたんだあ」
そう言って、嬉しそうに笑う。
「一緒にいるだけでそんな気分になれる相手なんて、そうそういないと思うよ?」
「……ん」
「それに、恋愛感情なんて人それぞれだと思うし。
ドキドキして、そのときの感情に一喜一憂するみたいなのも、今の村上が感じてるような穏やかな気持ちになれるのも、きっとそうだよ」
うんうん、と頷いて。
「その人の前では自然体でいられるってことでしょ? 変にかっこつけたりしなくてもいいっていうかさ」
「……ん」