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暁闇
第10章  上書きされていく


自分の中のどうしようもない感情を見せてから、始まった関係だった。
非難せずに受け止めてくれた彼女に対して抱いたその、安心感――――。

それは、今も変わらない。


「……よかった」


ぽつり、と坂本が呟く。


「え?」

「村上が、琴音のこと言い訳にしてなくて」


そしてまるで付け足すように、ふふっと。


「だってそんなの誰も喜ばないもん」

「坂本……」

「安心した。村上がちゃんと前見てるから」

「……ん」


坂本の言葉に、ずっと俺のことを気にしていてくれたんだな、と気付く。
……きっと、桜井もそうなんだろう。


「もう早く告っちゃいなよ」

「え? いや――――」

「なに。まだ何かあんの?」


ん? と身を乗り出してくる。

俺は少し迷いつつも、それを聞くなら坂本が一番いいのかもしれないと思って。


「あのさ、坂本って、けっこう次から次へといくじゃん」

「……その言い方なんか気になるな」


不満を口にしながらも、まあいいけど、と呟いて。
続きをどうぞ、と手で合図してくる。


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