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暁闇
第10章  上書きされていく


俺は、坂本の残したコーヒーを飲み干した。


「だから甘いって……」


呟きながら、口元に零れそうになる笑みを、堪える。

すみません、と店員を呼び、コーヒーをもう一杯頼んだ。

やがて運ばれてきたそれを、一口。


……ん。
やっぱりブラックの方が飲みやすい。


俺はそのまま天井を見上げて、ひとつ大きく息を吐く。


あおいさん――――。


そして彼女を。
……彼女の笑顔を、想う。



無性に彼女に、会いたくなった。



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