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暁闇
第10章 上書きされていく
「あーあ」
そんな中、坂本が溜め息と共に言葉を発する。
「もっと話したいけど、そろそろ行かなきゃかな。
親が可愛い娘の久々の帰省に、ご馳走作って待ってくれてるはずなのでー」
そう言って、得意げに笑顔を見せて。
「あ、坂本――――」
立ち上がった彼女を呼び止める。
「ん?」
「……その、いろいろ、サンキュ」
「どういたしまして。
相談料はコーヒー代でOKにしてあげるー。格安でしょ?」
にこっ、と笑う。
「……安すぎるよ」
思わず呟いた俺に
「村上の幸せそうな話聞けたから、いーの! ごちそうさまー!」
じゃあまたね! と手を振って坂本は店を出て行った。