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暁闇
第11章 始める決意
え――――。
もしかして、これ。
「あ――……」
気づいてしまった。
これ、俺と氏井さんの方を近づけるための計画だったんじゃないのか?
……ったく。小林の奴。
すげー高いものおごらせてやるから。
それでも、目の前の緊張している様子の彼女の言葉を拒絶するのは、何だかさすがに気が引けた。
「……じゃあ、俺の知ってる店でいい?」
そのひとことに、嬉しそうに頷く。
並んで歩き出すと、氏井さんが俺にいろいろ聞いてきた。
『村上くんって休みの日は何してるの?』
『どんな音楽が好き?』
『好きな食べ物は?』
『趣味は何?』
俺との共通項を探そうとでもしているのか、その質問は次から次へと。
申し訳ないけれど、彼女に同僚以上の感情を持っていなかった俺には、それらの質問にも、彼女の話す言葉にも、社交辞令のような返答しかできない。